気ままにダンス。

主に聖地巡礼、他にも色々、そんな日記。

【シャニマス】シャニアニは誰に向けた作品だったのだろうか。

こんにちは。
シャニアニ先行上映、観てきました。
いやー、よかった。
ファンとしては非常に満足な出来でした。
先行上映ということもあり、ツイッターに流すとネタバレになってしまうのでここで消化していこうと思います。
ということはつまりネタバレ満載の記事になりますので、まだ観賞されていない方は今すぐ画面を閉じていただければと。

まず、シャニアニは面白かったのだろうか。
これについて少し書いていきます。
映画を観た感想と言えば「面白かった」「面白くなかった」まずはこのどちらかの評価になると思います。
映画に限らず、大概の作品は鑑賞したあとに感想を言おうと思ったらまずはこのどちらかになるでしょう。
しかし、シャニアニに限って言えば、これは一概にはどちらかは言いがたいと思っています。
観終わったあと、私の感想は「面白かった、けど、評価の難しい作品だ」でした。
と言うのも、どの視点でこの作品を評価するかによって変わってくる気がするのです。

1. シャニマスというコンテンツの一部として

上に書いた私の感想はこの視点によるものです。
多くの人が書いている通り、「Catch the shiny tail」を始めとした様々なイベントやコミュからストーリーが形成されています。
尺の都合上、そのまま映像化されているわけではありませんが、それぞれの要素を組み合わせて上手く一本の話になったと思います。
その上で、アイドルが可愛い。
文章を読むだけではわからない細かい動きなどを見ることができる、可愛い。
甜花ちゃん好きなんじゃあ。
あとはライブがきちんと映像化されましたね。
シャニソンで3Dで動くアイドルを見ることはできますが、シャニアニのアイドルは固有のモーションを組んでいるので各々の個性がよく出ています。
画面いっぱいに動き回る果穂を見られただけで私としてはこのアニメを観た価値がありますね。

2. アイドルアニメとして

これは正直微妙。
2話から4話ではライブシーンで話を締める構成になっており、非常に見応えがありました。
アイドルアニメの醍醐味と言えばなんと言ってもライブシーンであり、ダンス、演出、様々な面から見てもここはクオリティが高かった。
個人的には文句なしで高得点を付けられます。
しかし、それだけ。
シャニマスは原作ゲームでもストーリーに重きを置いており、それが基になっているため、そもそもアイドルアニメではストーリーはお座なりになりがちということもあり特に問題ないでしょう。
キャラ崩壊や作画崩壊もなし。
問題なのは、アイドルアニメにも関わらず使用している楽曲が少なすぎることです。
上にも挙げたアイドルアニメの醍醐味ですが、ライブシーンの他に楽曲があります。
既存曲が良いシーンで使われたり、唐突に新曲が披露されたり。
そういうのがあまりにも少ない。
参考までに、歴代の先輩たちは以下の通りでした。
(同じ曲を数回歌われても1曲とし、オフボーカルはカウントしない。数え間違えてたらごめんね)

アニマス 既存52 新曲13 合計65
デレアニ 既存17 新曲21 合計38
SideM  既存18 新曲10 合計28
ミリアニ 既存15 新曲12 合計27
U149  既存17 新曲14 合計31

2クールあったアニマスとデレアニを抜きにしても、1クールの放送だった直近3作品は合計約30曲使用されました。
それに対しシャニアニは既存曲が10で新曲はツバサグラビティのみの1曲で合計11曲でした。
初期A面とSpread the wings!!が2回披露され、OP曲であるツバサグラビティが劇中でも歌われたことを考えても、のべ17曲と圧倒的に少ないです。
1stライブを再現するためにあえてそこまでにリリースされた曲だけでやっているのかなとも思いましたがツバサグラビティによってその仮定も崩され。
そもそもアイドルアニメでEDがオルゴールって、どうなのよ。
TV放送時に追加される可能性もなくはありませんが、劇中カットの中に描き下ろしが混ざっているのでその線は薄そうですし、何より無料で見られるはずのものをわざわざ金払って映画館に観に来ている物好きに未完成品を提供してどうする。この辺りもシャニマスが他ブランドと比べて尖っている性格によるものだと思うのですが、ここはその悪いところが全面に出てしまったと個人的には思いますね。アイドルアニメで新曲1曲だけなのはさすがにやりすぎ。

3. 単体のアニメ作品として

アイドルアニメとしては微妙な評価なら、じゃあ単体のアニメ作品として見ればどうかと言われると残念ながらこちらも高い評価は付けられません。
ストーリーはあくまでアイドルアニメにしては良くできているだけです。
どちらかと言うと、マイナス要素になるような描写がないだけであって(例を出すと叩かれそうなので言いませんが)プラスになるような面白さはないのです。
勿論、シャニマスのファンからすれば楽しめる要素はありますが、それはアイドルの背景をよく知っているからそう感じるだけで、シャニマスの前提知識がないアニメファンからの視点で楽しめているかどうかは疑問があります。
シャニアニにはその前提知識が必要な場面が多すぎるかと思います。
例えば10話の合宿回では放クラが懐かしいと言う合宿所が登場します。
これは「五色爆発!合宿クライマックス!」を読んだ私たちはあの合宿所だとわかりますし、モデルとなった猿ヶ京小学校をゲームで見えていた部分以外まで忠実に再現しており(まあこれに関しては聖地巡礼で訪れたから言えることですが)、これは嬉しいファンサービスです。
ただ、その前提知識がない視聴者からすれば、そのようなシーンがなかったのにも関わらず全員当たり前のようにそれを知っているかのように話が進むので困惑するかもしれません。
ここで1枚でも回想シーンが挟まればまた話は違う気がするのですが。
2023年に公開されて大ヒットを記録した映画「スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は、身内ネタや小ネタが豊富に仕込まれていたものの、それを知っているファンが世界規模で多いことから「世界最高の内輪ネタ映画」と評されました。
キャラクターを抜きにして観た映画ファンからの評価は高くなかったみたいですが、あまりにも内輪の規模が大きいことから全世界で興業収入13億以上という破格の記録を打ち出しました。
シャニアニは、それと同じことをしている気がします。
伝わる人には伝わる、そんなネタの割合が多すぎる。
そしてそれを見た初見の方々がどんな評価を下すのかと思うと…どうなんでしょうね。

上記の3点を踏まえて、ここで疑問が生まれます。
この作品は誰に向けたものなのか。
アニメ映像作品というのは漫画やゲームに比べて多くの人の目に入る可能性が高く、これまで以上に幅広くファンを獲得するためという目的があると思います。
そのため、オリジナルの脚本になることが多いゲーム原作のアニメは、新規ファンでも入って来られるようにキャラ紹介に徹することが多いです。
その辺りの構成が難しいために、アイドルアニメはシナリオで評価を得づらいんですね。
対してシャニアニはアイドル個人個人をあまり掘り下げているようには思えませんでした。
それよりも、制作側が伝えたい「アイドルマスターシャイニーカラーズ」を見せられていた気がします。キャラやストーリーについてはある程度知った上で、それを踏まえて、これまでとは違う側面だったり見えなかった一面を楽しむための作品という気がします。
それが顕著に現れていたと感じたのが12話です。
Spread the Wings!!フル尺。
アイドルアニメの劇中歌でフル尺でやった曲、あまり記憶にないんですよね。
しかも既に10話でオフボーカル、11話でゲームサイズを披露したあとでのフル尺。
更に映像は過去話の振り返り。
これ、1stライブを知っていたりSpread the Wings!!に思い入れがある私たちには染みるものがありますが、アニメを1クール見ただけの方々には何も刺さらないでしょう。
しかも登場しているアイドルのこともろくにわかっていないのに。
前半で歌ったツバサグラビティに関しては劇中で何か役割を果たしたわけでもなければ1stライブで歌われているはずもないので、そこで回想をされても私たちとしてもポカンとしてしまいますが。
回想の演出も1人1人の顔を映す時間が長く、アイドル個人に思い入れがなければ焦れったく感じてしまうかもしれません。
その辺りを含め、シャニマスを初見の人と従来のファンの間に乖離が生じます。
私の結論は、これは「アイドルマスターシャイニーカラーズを補完するためのアニメ」です。
シャニマスのことをよく知った上で、アイドルが動いて歌って踊っていること自体を楽しめて、ストーリーも描写が不足していても脳内で補完できる人に向けたアニメです。
とても単体で楽しめるものではないでしょう。
シャニアニというひとつのコンテンツではなく、あくまでシャニマスというコンテンツの一部であると認識するのであれば色々目を瞑ることができ、ファンだからこそ楽しめるポイントを純粋に楽しめます。
突き詰めてしまえば、アイマスシリーズのお家芸とも言える「内輪ネタ」を徹底的に作り上げたものなのかもしれません。
従来は72やゆうパックなどギャグ方面で使っていた「内輪ネタ」をストーリーという視点で丁寧に作り上げたものとも言えます。
実際がどういう意図なのかはわかりませんが。
それが良いか悪いかは内輪の中にいる私からは言えません。
ただ言えるのは、シャニマスのオタクとして、シャニマスを長年追いかけてきた立場として、シャニアニは「面白かった」ということです。

 

P.S.
3DCGアニメ、最初思っていたほど悪くはなかったけど、やっぱり手書きが良かったなと思ってしまうね。
3Dでも悪くなかったという感想は見ても手書きじゃなくて3Dで良かったという意見はほとんど見ないのがそれを物語っている。